福祉業界の離職率はなぜ高い?離職理由トップ5と対策を徹底解説

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福祉業界は「人の生活を支える」という非常に重要な役割を担っている一方で、慢性的な人手不足や高い離職率といった深刻な課題に直面しています。とくに介護や障がい福祉の現場では、人材の確保と定着が年々困難になっているのが実情です。

本コラムでは、福祉業界における離職率の現状や他業種との比較、そして職員が現場を去ってしまう原因とその実態を詳しく解説します。さらに、離職率を下げるために実践できる具体策や、成功している法人の事例も紹介し、今後の人材定着に向けたヒントを提供できればと思います。

福祉業界の離職率はどれくらい?他業界との比較

最新データで見る福祉業界の離職率の実態

福祉業界、とくに介護職を中心とした職種では、離職率の高さが慢性的な課題となっています。公益財団法人介護労働安定センターが公表した「令和4年度 介護労働実態調査結果」によると、介護職員の離職率は15.4%と報告されています。この数値は、日本全体の産業平均(約11.6%)と比較しても、明らかに高い傾向にあります。

つまり、福祉の現場では「毎年6〜7人に1人が辞めている」という計算になり、安定的な人材確保が困難な状況に陥っているのです。しかも、この傾向は一時的なものではなく、数年にわたって継続している点も深刻です。


他業界と比べて高いのはなぜ?

他の業界と比較してみると、福祉業界の離職率の高さが一層際立ちます。「厚生労働省 令和5年雇用動向調査結果」によると、たとえば、製造業の離職率は約9.7%、建設業10.1%、IT業界でも約12.8%にとどまっています。これらの業種と比較すると、福祉業界は明らかに高い人材流出の状態にあるといえます。

その背景には、「身体的・精神的な負担の大きさ」に加え、「賃金水準の低さ」「キャリア支援の不十分さ」など、さまざまな課題が複雑に絡み合っています。特に、人と接する福祉の現場では、感情労働の比重も高く、利用者やその家族との関係性においても高いストレスを抱えがちです。



出典:厚生労働省「 産業別の入職と離職」(令和5年(2023))
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf

福祉職の離職理由トップ5とその実態

人間関係のストレスが最大の要因

福祉現場で最も多く聞かれる離職理由のひとつが「人間関係のトラブル」です。とくに「上司と価値観が合わない」「チーム内のコミュニケーションがうまくいかない」といったケースが多く、働く上での精神的負担が大きな離職要因となっています。

小規模な施設や事業所では、スタッフの人数が限られているため、1人のトラブルが全体の雰囲気に影響を及ぼしやすく、結果としてチーム全体が機能不全に陥ることも少なくありません。


業務負担・残業の多さと休日の少なさ

福祉業界では慢性的な人手不足が続いており、その結果、1人あたりにかかる業務負担が非常に大きくなっています。日々の利用者支援だけでなく、記録業務、送迎、ケア対応、電話対応など多岐にわたる業務をこなす必要があり、定時での退勤が難しい現場も多く見られます。

さらに、シフト制勤務が基本となっているため、土日祝日が休めなかったり、夜勤で生活リズムの確保が難しいという悩みも多く聞かれます。プライベートの時間が確保しづらいことは、仕事への意欲や継続性に直接影響を及ぼします。


給与が低く、生活が安定しない

厚生労働省の統計によると、福祉・介護職の平均月給は他業界と比較しておよそ6万円も低い水準にあります。特に若年層や単身世帯では、生活費と給与のバランスが合わず、長く働き続けることが困難だと感じるケースが目立ちます。

近年は処遇改善加算などの制度も整備されてきましたが、全体的な水準としては依然として低く、生活の安定が見込めないことが早期離職を招いているのが現状です。


キャリアパスが見えづらい

「この仕事を続けていくと、どのようなキャリアが築けるのか?」という将来像が描けないことも、福祉職の離職要因として大きな影響を与えています。特に中小規模の事業所では、昇進や昇給の基準が不明確な場合が多く、長期的なビジョンが持ちにくいのが実情です。

たとえば「サービス管理責任者」や「管理者」などへのステップアップの道が示されていないと、職員は成長意欲を失いやすくなります。


教育・研修体制が整っていない

新卒や未経験者に対して、十分な教育研修が提供されていない事業所も少なくありません。入職して間もない段階で現場に出され、「見よう見まね」で仕事を覚えるという環境では、早期離職のリスクが高まります。

定期的なOJTやフォローアップ研修、メンター制度の不備が、職員の「不安感」や「孤立感」につながっているのです。

出典:厚労省 医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査集計結果(概要)
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000579094.pdf


離職率を下げるために今すぐできる3つの対策

入職後1年間のフォローアップ体制の強化

福祉職の離職の多くは、「入職後3ヶ月以内」に集中しているといわれます。したがって、最初の1年間をどう支援するかが、離職防止の鍵となります。

具体的には以下のような取り組みが効果的です:

・月1回の1on1面談を設け、日々の不安や疑問を丁寧に解消

・年齢や経験の近い先輩をメンターに任命し、日常的な相談先を明確化

・匿名相談窓口を設置し、職員が気軽に悩みを共有できる環境を整備


働きやすい職場環境の整備

職場の「働きやすさ」は定着率に直結します。業務量の見直しやICTの導入による業務効率化、残業削減、有給取得率の向上など、目に見える改善が重要です。

たとえば「有給取得率90%以上」や「残業月5時間以内」など、具体的な数字で職場の取り組みを明示することで、採用の際にも強みとなります。


キャリアパスと評価制度の明確化

昇進や昇給の仕組みを明文化し、職員に明確な「目標」と「評価基準」を伝えることが重要です。以下のような制度設計が参考になります。

・キャリアステップ例:現場職員 → サビ管 → 管理者 → マネージャー

・年1回の人事評価・昇給査定とフィードバック面談の実施


離職率を下げる成功事例とその共通点

離職率を10%以下に抑えた法人の取り組み

・毎月のチームミーティングで職員の声を拾い、現場主導の改善を実現

・管理職が定期的に現場に入り、職員の困りごとを把握・対応

実行するのはなかなか難しいように思いますが、このように「現場の声を吸い上げ、即座に行動へ移す」姿勢が、定着率向上につながっていることは確かです。


経験年数別の離職率に応じた対応策とは?

・入職3ヶ月以内の職員にはOJTを集中的に実施し、業務への安心感を提供

・年以上の職員にはスキルアップ研修や資格取得支援を用意してモチベーション維持を図る


定着率を高めた求人の書き方・訴求ポイント

・給与・休暇・福利厚生については具体的な数字や事例で明記

スタッフの声や1日の流れ、写真を掲載し、職場のリアルな雰囲気を伝える

・キャリアパスを明示し、将来も同じ事業所でキャリアを築けている事をイメージしてもらう

まとめ — 離職率を下げるカギは“採用後の戦略”にある

福祉業界における高い離職率の背景には、「待遇」「人間関係」「キャリア不安」「教育不足」といった多くの課題が存在します。とくに採用後のサポート体制が不十分であることが、離職の最大の原因です。

そのため、離職率を下げるためには「採用して終わり」ではなく、「入職後の定着・成長」を支援する戦略的な取り組みが不可欠です。職員のキャリアとライフスタイルに寄り添い、長く働ける職場環境を作ることが、持続的な経営の鍵となります。

また、現場と経営層との意識のギャップを埋める努力や、日常的な「承認文化」の醸成も重要です。小さな成果や努力に対してポジティブなフィードバックを重ねることで、職員の自己肯定感やエンゲージメントは大きく向上していくでしょう。

これらはあくまでも全体の一例に過ぎませんが、現状の採用活動を見直し、サビ管の魅力を伝える求人票作成や、採用チャネルの選定など、まずはできることから徹底して行いましょう。


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